■■■ Wonder Showcase
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『ワンダーショウケース』第14期プロデュースアーティスト&作品紹介
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WSC #034 石長櫻子
http://shokuen.com/index.html

WSC#034プレゼンテーション商品『花本はぐみ』
1/8(全長200mm)レジンキャストキット (C) 羽海野チカ/集英社・ハチクロII製作委員会

女性という立場からの「性差」という武器
女性作家ならではの視点に基づく美少女フィギュア

※アーティスト解説

WSC #034 石長櫻子
Sakurako IWANAGA
[植物少女園]

■石長櫻子はずるいと思う。
「女性ガレージキット作家だからといって特別な目で見られたくない」などといかにもなセリフを口にするくせに、自分の造形作品にはしっかりと、女性という立場からの“性差”を最大の武器として活用しているではないか。たとえば、彼女の手による女性キャラクター作品における、腰骨〜股間(恥骨)〜大腿部(とくに内腿)〜ヒザへの流れ。無頓着な人には「スレンダー」のひとことで片付けられてしまいそうだが、これはまちがいなく「女性の目から見た女性のカラダ」だ。
 しかも、パッと見は少女マンガのキャラクター風にカリカチュアライズされているように思えるものの、石長はそこに「女というひどく面倒くさい生きもののカラダ」を故意に盛り込んでいる。つまりは「女性にしか描けぬ女の性」を武器に据えた表現活動をしているのだから、「アンタ、言ってることとやってることがメチャクチャやん!」とツッコミのひとつも入れたくなるわけだが……まあ、それはともかく、彼女の手掛けた女性キャラクター作品が醸し出す「毎月毎月必ず生理がやってくる」ことをイメージさせるその感覚は、これまでのガレージキット的キャラクター造形には存在しなかったものであり、特筆すべき点であるはずだ。
■石長櫻子はかく語る。
「躍動感がなくて、力を加えたらポキッと折れてしまいそうな、植物的な女の子が好きなんです。ただ、そういう部分を作品の前面に押し出したら(見る側に)引かれちゃうんじゃないかと思って、以前は無理して元気系の明るいキャラクターばかり作っていて。でも去年('05年)あたりにようやく吹っ切れて、“もういいや、陰のある系や不気味系で行っちゃえ!”って……それで、ディーラー名もそのものズバリの名前に変えて」
■石長櫻子の造形はやはり異端と言えば異端である。
 しかし、彼女の造形に引く人は引き続ける反面、知らず知らずのうちに彼女の造形に魅了されていく人も必ずや現れると思う。好きになるとヤバそうなタイプの女の子を、わかっていつつも好きになってしまうような。
 また、彼女はこの先も決してメインストリームには成り得ぬだろうが、メインストリームに乗ることだけがこの世界における成功とは限らない。石長のような特異な存在がそこそこ売れてそこそこ食べていくことができるようならば、ガレージキットシーン全体を俯瞰して眺めた際、それはそれでむしろ「豊か」ではないか?
 そう――石長には、目先の評価や利益に流されることなく、したたかな長期戦を挑んでいってほしい。あなたは必ずもうひと化けする可能性を秘めているから。

text by Masahiko ASANO

プロフィール
いわながさくらこ●19XX年3月5日生まれ。北海道出身沖縄県在住。高校時代、『マクロス7』『新世紀エヴァンゲリオン』を通じてオタク趣味に開眼、立体物にも興味を抱き「好きなキャラクターのフィギュアを作ってみたい」と思い立つも、その方法がまったくわからずに困惑。友人から「だったらこれを読んでごらん」と『ガレキの翔』(島本和彦の熱血ガレージキット漫画)を手渡され、造形に関する(少し歪んだ)知識を同作品から習得することになる。その後、ファンド(造形用粘土)を使い習作を作成し続けていくうちに「誰かに作品を見てもらって評価されたい」という気持ちが芽生え、'03年[冬]、“ねこおろし”名義でワンフェスにディーラー参加を試みるも、持ち込んだ30個のキットがひとつしか売れずに一度は挫折。が、'04年[冬]より決意も新たにディーラー参加を再開、販売数も回を追うごとに上向きになり、俄然やる気が生じはじめる。'06年[冬]からは現在の“植物少女園”へ名義を変更、現在は、南の島の暑さにへこたれつつも、フィギュア造形をこの先の生業とすべく精進中である。
http://shokuen.com/index.html


※商品解説

花本はぐみ
1/8(全長200mm)レジンキャストキット

■商品販売価格
ワンフェス会場価格/5,800円(税込)

【緊急のお知らせとお詫び】 7/27
ワンフェスガイドブック表4広告と雑誌広告では8月21日以降の一般販売に関する情報が掲載されていますが、WSC#034 石長櫻子のプレゼンテーション作品“花本はぐみ”(from TVアニメーション『ハチミツとクローバーII』)は、版権元の意向に伴い一般販売が行えないことになりました。
WSC#034 石長櫻子の8月21日以降におけるプロモーション&プレゼンテーション内容は現時点では未定です。
その旨、ご了承いただければ幸いです。

 女性らしい繊細な作り……などと形容されがちな石長櫻子の作品は、じつはそれほど単純でスウィートなものではありません。その裏には、もっとおどろおどろしい彼女なりの信念や、「植物的で儚げな少女が好き」という想いなどが隠されていたりもするのですが、今回のプレゼンテーション作品“花本はぐみ”(TVアニメーション『ハチミツとクローバー』より)に関して言えば、「女の子らしくてかわいい!」と素直にリアクションするのが正解かもしれません(ただしパーツ状態で眺めると、石長の植物的な少女への想いがダイレクトに感じられるはずですが)。髪の毛のボリュームが多大なため、実際のレジンキャストパーツはかなりの重量なのですが、そこに「重さ」ではなく「軽やかさ」を感じさせるあたりがこの作品の見どころ。また、劇中の有名シーンをフィーチャーした、「女性なりの女性キャラ萌え」的な愛情溢れる作りにもぜひ注目してみてください。

※石長櫻子からのコメント

 植物少女園という名前のように、動物というより植物っぽい陰のある感じで細くてポキッと折れそうな儚くてアンニュイな少女を作るのが好きなのですが、今回どちらかというと植物的少女から外れている感のある“はぐ”を作った理由はあまりにもはぐが可愛すぎて、原作漫画を読みながら登場人物の竹本君(19)といっしょに彼女に恋をしてしまったからなのです。感情移入しすぎですか。そうですか。

 で、作ったわけですが、私が普段どうやってこういったフィギュアを作るのかというのを今回特別にお教えいたしますと、まず、可愛くなれと念じながら粘土をこねるのです。ひたすら可愛くなるようにと思いながら、あとは造形の神様に任せるのです。本当に神様がいるのかどうかはわかりませんが、そうやっているうちに気が付くと形になっているという寸法です。不思議ですね。途中、思ったような形にならないこともありますが、そういう場合は大暴れして神様にダメ出しをします。ここは本気で泣いて抗議をしないといけません。これも重要な工程のひとつなのです。私はまだまだ未熟者なので、上手く行かずに毎回ダメ出しをする羽目になるので大変です。
 もうひとつ、重要なことがありまして、この造形作業は神聖な儀式ですので、作業中は必ず素っ裸。人前で作業してはいけません。さながら鶴の機織りのようです。もし不用意に覗いてしまったり、声をかけたりすると神様ではなく鬼が降りてきてひどい目にあわされますので、くれぐれもそっとしておいてください。

 と、まあ、半分冗談みたいなことを書きましたが半分はほぼ実話です。話半分に聞いておいていただけるとありがたいです。え、じゃあ半分の半分だから1/4かー。って計算合ってるでしょうか?? 算数は苦手なんですよね。

 

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WSC #035 矢竹剛教

http://www.monkey-com.com/yatake/accel-hp/

WSC#035 プレゼンテーション商品『丑蜜(うしみつ)』
ノンスケール(全高150mm)レジンキャストキット(C) 2006 ACCEL

処女作からいきなり巧い、ブレのない抜群の安定感
「造形を見る目」の重要性を体現した塗装の匠

※アーティスト解説

WSC #035 矢竹剛教
Yoshinori YATAKE
[ACCEL(アクセル)]

 '04年末、ぼくは矢竹に仕事をオファーした経験を持っている。その内容とは、「WSC#023吉沢光正が原型製作を手掛けたキャミィを、PVC製塗装済み完成品化するためのペイントマスター(=量産フィギュア用塗装見本)を作成してくれないか?」というものであり、当時の矢竹といえば、生粋のモデルフィニッシャー(模型製作代行業者)として活動していた。つまり、矢竹が造形に着手しはじめたのはそれ以降の話なのだ。
「フィニッシャー活動を通じて造形を見る目は養われていたので、なんとなく“そろそろ自分で原型作れるんとちゃう?”みたいな感じからスタートして。
 というのも……この世界におけるフィニッシャーの位置付けって、しょせんは原型師の引き立て役なんですよ。どんなに上手く塗装して仕上げても、けっきょくはそのキットの原型製作を手掛けた原型師の評価を高めることに荷担しているだけで、自分自身の評価にはほとんど繋がらない。花形はつねに原型師なんです。だから、そのことに対する疑問というか、原型師に対するコンプレックスみたいなものはずっと抱いていたので、造形で自分がどのぐらいできるのか試してみたくなって」
 矢竹の造形作品は処女作から突出していた。ひとことで言うならば「巧い」。顔の造作に少々クセがあるものの、デッサンにしても空間構成にしてもディテーリングにしても専業原型師レベルにあり、何よりその「安定感」が見事だった。見る者を不安にさせる要素が極めて少ないというか、造形にブレがないのだ。さらに、分不相応な高望みをすることなく、自らが設定した現実的な(しかし、決してハードルが低いわけではない)ゴール地点に向け迷わず駆け込んでいったことが他者からも読み取れる、その「大人の仕事」ぶりもまたすばらしかった。ぼくは「絵が上手に描ける才能を有しているならばフィギュア造形なんかお茶の子さいさい」論を掲げている人間なので、「処女作からいきなり上手い」という部分にはなんの驚きも感じないのだが、「処女作からいきなり巧い」ことに対しては大いに感心させられた。
 が、それと同時に、そうした「安定感」と「大人の仕事」に対しもの足りなさを感じたのも事実である。
 原型師に対するコンプレックスが創作意欲の源となり、自分がどれだけやれるのかを試したくなったのならば、それこそ「ぶっ倒れるまで走る」べきではないか? ゴール地点の設定をもっと厳しくするべきではないか?
「この先も生業はペイントマスター製作であり、造形は副業的に考えている」という人間に対しそこまで言うのは酷かもしれないが、矢竹の『ワンダーショウケース』選出は、ある意味ぼくからの「愛の鞭」なのだ。
text by Masahiko ASANO

プロフィール
やたけよしのり●1968年5月25日生まれ。小学生時代にガンプラブームで模型製作にハマり、美大(短期)デザイン科在学時にはオタク趣味を一旦放棄するも、ゲーム制作会社へ就職し、再びオタクの世界へ。その後、FRP成型会社、塗装会社勤めを経て「次の就職先を探してデザイン会社まわりなどをしていた」際、大阪市中央区にあるホビーショップ『怪物屋』に出入りするようになり、同ショップからの依頼でクリーチャー系ガレージキットの製作代行を請け負いはじめる。'03年、のちにWSC#023として『ワンダーショウケース』に選出されることになる吉沢光正との交流がはじまり、'04年[夏]のワンフェスにて、吉沢のWSCプレゼンテーション作品キャミィの展示用完成見本(俗称“白版”&“黒版”)作成を担当、凄腕フィニッシャーとして一躍脚光を浴びる。ガレージキットディーラーとしては'05年[冬]に“ACCEL(アクセル)”名義で初参加、いきなりの「50個完売」を経験し、造形が有する魔性の魅力に取り憑かれていくことになる。
http://www.monkey-com.com/yatake/accel-hp/


※プレゼンテーション商品解説

丑蜜(うしみつ)
ノンスケール(全高150mm)レジンキャストキット

■商品販売価格
ワンフェス会場特別価格/5,800円(税込)
ワンフェス以降の一般小売価格/8,000円(税込)
※8月21日以降は、ホビーロビー東京店頭、及び、海洋堂公式Webサイト(http://www.kaiyodo.co.jp/)内『KMS海洋堂ミュージアムストア』(http://www.j-hobby.com/kms_jpn/)での通信販売による取り扱いが基本となります
(C) 2006 ACCEL

 当初はプロのモデルフィニッシャー(模型製作代行業者)としてガレージキット業界でのキャリアをスタートさせた矢竹剛教。現在は、ペイントマスター(量産フィギュア用塗装見本)制作を生業としつつ、'04年末から造形にも着手、誰もが驚くほどの成長曲線を描きながら「あっ」というまにここまで駆け上ってきました。手掛ける造形作品は美少女フィギュアならぬ“美女フィギュア”とでも呼ぶべきジャンルに属するものですが、フィニッシャー時代に触れ馴染んだ『エイリアン』や『プレデター』といったクリーチャー系造形のディテールや質感表現を上手く採り入れているあたりが矢竹造形ならではの特徴。塗装前のレジンキャストパーツ状態でも「この服はこういう縫製なのか」「ここのパッドは皮製なんだな」などということが見て取れるディテーリングが成されているゆえ、キットを組み立てる側のイマジネーションをいやが応にも駆り立てるはずです。ちなみに、プレゼンテーション作品となる“丑蜜”は、矢竹自身の手による創作キャラクター。その妖艶な雰囲気と揺るぎのない造形テクニックをたっぷりとご堪能ください。

※矢竹剛教からのコメント

 いろんな意味で「よく自分を選んだなぁ」とか思いながらも粛々とお受けすることにしました。『ワンダーショウケース(以下WSC)』に至っては、勝ち負けの線引きが「売れ行き」に関係ないってことがレーベルプロデューサーとの会話の中で感じ取ることができ納得。なので「ソレ以外の観点から選出しているのだろう」と。でないと「自分を選ぶ=すでに完敗」だと思うから。『WSC』をバックアップする海洋堂さんといい、非常に「酔狂」だなぁという印象(笑)、でもそういう部分におもしろ味を感じます。
 で、『WSC』選出を受けて以降自分がどうするのか? ……たぶん、相変わらずなモノを作っていくんでしょう。いまだイロイロと模索中ですが、いろんなジャンルをやってみたいとか思ってます。結局この先も手探り状態、明確な目標があるワケでなしって感じで。ただ、ずっと続けられたらよいなァと思ってます。そしてソレを可能にするために悪戦苦闘が続くでしょう。また、そういう部分にやりがいを感じたりもします。
 さて今回は「造形」で『WSC』に選んでいただきました(……だよね?)。しかし自分がモノを作るにあたって「塗装」って要素は外せません。私的にココはとても重要で、原型製作と塗装は等価です。原型製作の段階から「どう塗るのか?」を考えてモールドを付けていきますし、塗るために作ってるって部分もある。いざ塗って、はじめてマズイ部分が見えてくることもありますし。塗装を通して原型の善し悪しを知り、ソレを基準に次回以降の糧としています。じつは原型のアラを塗装でごまかせたりも(笑)。「コンマ数ミリの面研ぎで表情が変わる」って原型師は言いますが、「コンマ数ミリの線描きでも変わるっス!」と主張したい……つか、「お前どっちやねん!」って感じですが。
 まぁ両方とも重要だってことで(笑)。そんなこんなでコレからもがんばります、皆さんヨロシク!


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